新宿ゴールデン街劇場「地下室 胡蝶ノ夢」

知人である佐藤律子さんが主演する舞台を見に「総合表現室地下室」の第7回目の公演へ行ってきた。
「総合表現室地下室」という公演は知らなかったのだけれど、ひとつの公演の中に音楽や演劇、映像、書などをジャンルを問わずに詰め込んで一挙に上演してしまうというもの。表現するという行為の垣根を取り払おうというのだ。あらゆる表現の出会う場所とでもいうのか、主催の H1DEK1 氏が寺山修司の信奉者というと、なんとなく雰囲気が伝わるかもしれない。

出演者は以下のとおり(出演順)
dryfishbutterfly
4人組のインストバンド。やりたいこと、目指していることは分かる気がするのだけれど、ちょっと物足りない印象。いくつか原因はあるのだと思うけど、一番の原因は技術的なものじゃないかと思う。例えばギターのハンドビブラートだったり、ベースやスネアドラムの粒の揃え方だったり。
なんか、上から目線になってしまうが「惜しい」気がした。
酒井龍芳
新進気鋭の書家らしい。
主催の H1DEK1 氏とゲストの三上寛氏が舞台上で雑談をしている後ろで「淵」という文字と「独」という時を書き上げた。
何かを始めるとき、現状から飛び出すとき足元に見える「淵」。三上氏からのリクエストで書いたという孤独の「独」。
瑞々しさの感じられる書。技術的なことはよく分からないけれど、「若い字」というのも気持ちが良い。
石神佑祐
短い映像作品を上映。少しいじり過ぎかも知れない。そのために主題がぼやけてしまっている気がした。
早い話が、いまひとつ分からんかったということでした。
Roger Walch
ショートムービーを3作上映。
京都在住のスイス人だとのこと。
やはり西洋人から見た日本というのは、今もって不思議が沢山なのだなぁと思った。
彼の website ( http://www.rowmuse.com/ ) や YouTube からも作品が見られる。
個人的には「KITSUNE - Bewitched by a Fox Spirit」の狙いすましたチープさや、「Cheerleader」の応援団を再構築することによって Roger Walch 氏自身の感じた驚きを提示していく仕掛けなんかはとても面白いと思った。
61勝負
ロクイチショウブと読むとのこと。
ぼくの知人が主演した舞台。
身内の贔屓目が入ってしまうようだけれど、よく練られた舞台だったと思う。
決して男性には理解できない、或いは理解したくない女性の生身の部分を感じ、ぞっとする反面、愛おしくもあり。
佐藤氏は一人三役で大活躍。中盤でやや焦って走りそうになる部分もあったけれど、勢いと圧力で押し切った。
というか、見てるボクが焦り気味だったのかも。
三上寛
謂わずと知れた大御所フォークシンガー。
歌い手の方から、聞き手の心に踏み込んでくる音楽。
三上氏の音楽は、そんな音楽。
真剣すぎないこと、他人との適当な距離感がもてはやされる「今」の音楽とは相容れない音楽だと思う。
でもボクは三上氏の叫びに応えて叫びたいと思ったし、三上氏の音楽の迫力に本物を感じた。
ちなみに、公演終了後、三上氏が出てきたのを見たのだけれど、荷物はギター一本だけだった。
カッコイイ。

で、その後は代々木で弟の誕生会。
充実した日曜日だった!