映画「バベル」の「バベルの塔」

2時間半弱という長さゆえに、なかなか見る気になれなかったのだけれど一念発起。
シーン構成が細切れすぎたり音楽がうるさすぎて落ち着かないのだが、見終わってみれば割とあっという間の2時間半。結局これって、監督の手腕と音楽の良さなのかも。
でも、これが映画館だったらキツイかもなぁ。

「バベル」というタイトルのとおり、断絶と無理解がテーマ。そのことは、きっと色々人が色々なところで書いているだろうから今さらボクが書かなくても良い気がする。

しかし、旧約聖書の「バベルの塔」って何だったっけ?
かつては同じ言葉を話していた人々は、天にも届くバベルの塔を建てようする。しかし神をも恐れぬその傲慢さゆえに神の怒りを買ってしまい、お互いの言葉を通じなくさせられてしまう、という話だった。*1

では、この映画に登場する「バベルの塔」は何なのか。
コカ・コーラ、米軍、メルセデス製の観光バス、トヨタランドクルーザーレイバン、高層マンション、時差無く世界を駆け巡るニュース……。

そもそも、この映画作品そのものが「バベルの塔」だから「バベル」というトートロジーなのだ。

グローバリズムという傲慢さ、世界は均一であるという傲慢さは人間性の否定であるのにもかかわらず、押し寄せるモノや情報の洪水は、ぼくらを立ち止まらさせない。そうして世界は内側から破壊され、崩壊していくのだ。

*1:最も傲慢なのって「神」のような気がするんだけど。まぁいいや。