「虫屋」の目で見た世界

虫の宇宙誌 (集英社文庫)

虫の宇宙誌 (集英社文庫)

著者の奥本大三郎氏はフランス文学者である。そして、日本昆虫協会の会長。
奥本氏は自らを含めた虫を愛する仲間たちを、誇りと愛情を込めて「虫屋」と呼ぶ。
虫に関するエッセイを集めた、虫好きにはタマラナイ本。
虫屋の目を通してみる世界は、なんとフラットで自由なのだろうと思う。
虫にフォーカスし、虫を基準として文化を紐解いていくと、逆説的だけれど、その視点はマクロ的なものになっていく。大きなものさしで物事をズバズバ捌いていく筆致は内田百輭にも通ずるところがあるかもしれない。(ボクがそう感じた理由は「あとがき」で明らかになるんだけど)
厳しくて優しくて、あたたかい。