「エコ替え」が「エゴ買え」に見える
驚いた。本当に驚いた。
トヨタ自動車が展開している「エコ替え」キャンペーン。
→ http://ecogae.jp/
本日初めてテレビ CM を拝見したのだけれど…モノスゴイ。
一言でそのココロを表すと
「燃費の良いクルマに買い替えて CO2 削減に貢献しましょう」
なんと恐ろしい理論の飛躍だろうか!
サイトを見てさらに驚いた。
サイト内では「エコ替え」による CO2 削減効果を約250kgとうたっている。
(そもそも、250kgというのが年間の削減量だという表記が無いのもオカシイ)
しかし…
トヨタ自動車さん、国内でクルマが売れなくて困っているのは分かります。
分かりますけど、この「エコ替え」キャンペーンはあまりにも消費者をバカにしていませんか?
ノルマを達成しくて、とにかくメリットを並べ立てて商品を売ろうとするダメなセールスマンに当たっちゃったような、なんとも不愉快な気分になったよ。相手に対して誠実であることって、商売の、というよりも人間関係の基本中の基本であるように思うのだけれど。
せっかくのキャンペーンなのに「エコ替え」が「エゴ買え」に見える。トホホ。
ちなみに…
- 2006年度のトヨタ自動車の国内生産台数 4,185,465台 http://www.jama.or.jp/stats/product/20070427/prod-4-04-03.html
- 2006年度のトヨタ自動車の生産活動における CO2 排出量は160万トン
- 物流段階での CO2 排出量46.3万トン(上記 CO2 排出量の数値はトヨタの環境報告書より)
単純に「生産、物流段階 CO2 排出量」÷「国内生産台数」を考えると(ものすごい乱暴な計算だけれども)約500kgになる。
さらに自動車用鋼板などの原材料や部品も含む生産活動や、研究開発段階での CO2 排出量を考えると新車を1台生産するのに排出される CO2 の量は500kg未満にはならないはず。
その値を全く無視して約250kgの CO2 を削減って言われてもなぁ。
10年前のラウム→ヴィッツという買い換えについても、全く無い話だと言えないかもしれないけれど、数字を作るための車種選択であるという印象を抱かせる。
トヨタの営業マンはショールームに来たお客さま全てにヴィッツを薦めるわけじゃないでしょう。値段の高いクルマほど利幅も大きいんだから。(これも現実的ではないけれど)たとえば10年前のラウム→最新型ラウムという買い替えならば、走行段階だけで比較した場合の年間 CO2 削減量は150kgになる。
今は都心に住んでいるのでクルマには乗っていないけれど、クルマ自体は大好きだし実家に帰れば運転だってする。そもそも、このテレビ CM を見たのだって( CO2を垂れ流している)エフワン中継を見ていたからだし。しかし、これはイカンよ。本当にエコのことを考えてってことなら、場合によってはクルマを持たないという選択や買わずに借りる(レンタカー)という選択もあるはず。
ボクの実家がある長野県のように、クルマが生活必需品である地方でも、(当たり前だけど)クルマを買い替えるってのは生活必需品を替えるってのとは違う。茶碗や箸のようにポンと買い替えられるものでもないし、単なる機械とはいえ、同じクルマに長く乗っていればクルマ好きでなくても多少は愛着が湧くはず。そもそも CM 中の「まだ乗れるけど買い替えよう」みたいなセリフって、自動車メーカーが言うべきではないと思う。
それにしても、この企画を通した方々を尊敬するよ。