ギュスターヴ・モロー展

渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中のギュスターヴ・モロー展へ行ってきた。

モローは個人的にも好きな画家の一人なのだけれど、日本ではその主題がギリシア神話だったり聖書だったりするために、いまいちマイナーな印象があるし、ボクも数点しか作品を見てない。

パリにあるモロー美術館は「パリの宝石」といわれるほどのすばらしい美術館らしい。
(パリに行ったときに行けばよかったといまさら後悔!!)
今回はその美術館の全面的な協力で300点弱の作品を見ることができた。

モローというと、官能的できらびやか、浮世離れした絵の印象が強かった。多作だという印象とともに、ルオーとマチスの師匠であるという情報くらいしか持っておらず、どちらかというと、勢いで描ききるタイプの画家なのかなと思っていた。

今回の展示が良かったのは、多くの素描・水彩・習作を見ることができたということ。思っていた以上に彼は俗人離れしていて、絵に対しての緻密な考察は一種、鬼気迫るものを感じた。
生前から「パリの真ん中に隠れ住む行者」と言われてきただけの事はある。

一番見たかったのは「出現」という、目を見開いた聖ヨハネの生首が踊り子の娘と真っ向対峙するという聖書に主題を求めた、ショッキングな絵だ。空気が凍りつくような緊張感と官能的な香りに引き込まれそうになった。

彼の偏執的な情熱にやられてしまったようで、美術館を出るときにはなんだか頭が痛くなってしまった。