「127時間」生きる!

公式サイトのディスクリプション「生きて帰りたい。断崖に挟まれた青年の、究極の<決断>―。」

まぁ、これでほぼネタバレ。展開もラストも予想通り。

しかし

話のスジにひねったところがなくとも、激しく心を揺さぶられる映画だった。


ぼくらは町で暮らしているから、自らを「人間」だと思っている。
でも、ぼくらが肉として呼吸をし生きていく根底には「ヒト」であることが大前提。
忘れてしまうのだけれど、ごくごく当たり前のこと。
そうして、動物としての「ヒト」は弱い。これもごくごく当たり前のこと。

でも、そんな当たり前のことを忘れてしまうのが人間だから、
弱い動物としての「ヒト」を常に再確認したくて、
ボクは山に登り、波に乗る(最近はごぶさただけれど)。


この「127時間」においては、弱い「ヒト」の中にある、
人間としての知恵や理性を超えた「生きようとする執念」が
ダニー・ボイル監督の手腕によって、眼前に突きつけられる。

その執念にアテられて、激しく心が揺さぶられる。
怖い。辛い。切ない。


例によって以前に書いたイントゥ・ザ・ワイルド(2009/03/09 追記) - shimozappaの日記
2ちゃんねる界隈で「マジキチ」と言われていた「サバイバル登山家」の本 - shimozappaの日記を思い出す。


人間はいつか死ぬけれど、死ぬまでは生き続ける。
「生きる」というのは人間にとっての最大のテーマ。
つくづく思い知らされた。

フェルメールからのラブレター展

http://vermeer-message.com/

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「フェルメールからのラブレター展」は
なんとも残念な展覧会だった。


フェルメールの絵画を見たときにいつも感じる、
吸い込まれてしまいそうな感覚、
こちらが準備しなくてもたちどころに心を掴まれてしまうような驚き、
そういうものが感じられなかった。


もちろん絵は素晴らしい。
光と影、色、構図。隙の無い絵画。


展示方法が良くなかったのではないかと思う。
最も問題だとボクが思ったのは下記の3点。

1点目は照明。
明るすぎる。すごく繊細な陰影と色を持つ絵なのだから
あんなにガンガン照明を当ててはいけない。
そもそもフェルメールの絵は、現代と比べれば
かなり薄暗い室内で描かれ、飾られていたはず。

それから、絵が飾られていた壁の色。
あんな赤い壁の上に絵を飾ったら、ボクのように
キュレーターは何も感じなかったのかもしれないが
訓練を積んでいない素人は、どうしても壁の方に目が引っ張られてしまう。
チカチカしてしまい、落ち着いて絵と対話ができない。

で、最後、3点目は配置。そもそも広くない美術館なので仕方がないとは思うけれど、
一気に3点のフェルメールを、あの広さの部屋に配置しないほうが良い。
余韻を楽しむことができないまま、次の絵を見せられてしまう。


前回、同じBunkamura ザ・ミュージアムで開催された
「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」の展示は
良かっただけに、今回は非常に残念。
もったいない。

オバマはイラク戦争終結を宣言したが、アメリカはこれからもっと不幸になる

 【フォート・ブラッグ(米ノースカロライナ州)=黒瀬悦成】オバマ米大統領は14日、ノースカロライナ州のフォート・ブラッグ陸軍基地で演説し、「イラク戦争終結」を宣言した。
(中略)
戦争の「勝利」は明言しなかった。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081229-507405/news/20111215-OYT1T00086.htm


世界を不幸にするアメリカの戦争経済  イラク戦費3兆ドルの衝撃

世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃

以前に読んだこの本を思い出した。
ノーベル経済学賞受賞者はイラク戦争をどう見ているか? - shimozappaの日記
スティグリッツ教授の試算によれば、イラク戦争に投じられた本当のコストは、隠れた/隠されたものも含めれば3兆ドル。

この戦争の後遺症は、アメリカをさらに弱らせる。
帰還兵の補償だけでなく、本来であれば教育や社会インフラ整備などに回されるべきであった資金が戦争にまわされたことによっても、大きな負担をアメリカは強いられる。

これは対岸の火事ではない。

パウル・クレー展 おわらないアトリエ

http://klee.exhn.jp/

7月9日に行った。
本日7月31日が最終日らしい。


パウル・クレーはボクも好きな画家の一人だけれど、これだけ多くの作品を一度に見たのは今回が初めて。
180点ほどの作品があり、所用時間3時間半。ケツカッチンでなければもっと居たかった……。


今回の展覧会は展示の手法が良かった。
180点もある作品を技法別に分類し展示することでクレーの画家として生涯とテーマに迫ろうという試み。
個人的には一人の画家の作品を展示する場合は制作年代別に勝るものはないと思っているのだけれど、今回の展示は良かった。


何となく「知った気になっていた」クレーという画家の静かで偏執的な情熱、主張に改めて触れて自分の中でクレーという画家のイメージが自分に近づいてきた感じ。
クレーのアトリエの写真などが飾られていたということもあり、技法別に展示してある作品の前に立つと、クレーの制作風景がはっきりと意識できるし、絵と対話に入るまでの時間も早い。


ボクの抱いていたクレーのイメージは「どちらかというとリズム追求型の画家」というものだったが、そうではなくて「リズムとリアリズムの外側にある絵画の可能性を探求した画家」なんだな。
今年度上半期のベスト。

コクリコ坂から

宮崎吾朗監督のデビュー作である「ゲド戦記」での残念な記憶が強かったせいで、今回も実はあまり期待していなかった。

しかし、周りで観に行っている人たちの感想が概ね好意的なもので、中には絶賛する声もあり半信半疑で観に行った。


高校時代を思い出させてくれて、向日的な気持ちにさせてくれた。
良い映画だった。

主人公たちが通う、あの高校の雰囲気がボクが通った高校にあまりにも似ていたからだ。
校舎はレンガ造りでないだけでそっくり。廊下、教室の窓、講堂もそっくり。一番驚いたのは階段の手すり。全く同じに見えた。主人公がその手すりを軽く触れながら階段を下りるシーンを見たら、自分の高校のあの階段の手すりに触れたときの感覚がフラッシュバックして、画面の中の主人公と一緒に階段を下りている気分になってしまった。

そして、その「自由と自治」にあふれる校風。
ウチの高校も事あるごとに生徒集会が開かれ、熱い議論が戦わされていたなぁ。
全校生徒の8割だったか6割だったかが参加しないと流会してしまうため、校門にバリケードを作って生徒会は下校を阻止していたのを良く覚えている。
ゲバ字で書かれたプラカードを持ってアジってる人もいたよなぁ。哲研と文学部で一緒だった先輩だ。

先生たちも生徒を信頼してくれてた。
その当時は気がつかなかったけれど、職員会で、授業のサボタージュと部室内での喫煙が議題にあがったとき、ある先生が授業時間に部室を見回ることを提案したそうだ。だけどそのとき、OBでもある地理の先生が「何を馬鹿なことを言っているんだ。教師が生徒を信用しないでどうするんだ!」と憤慨したらしい。
その時は気がつかなかったけれど、今考えてみれば本当にありがたい。
当時、先生に占めるOB率が9割でOBの先生たちは、ぼくらのことを本当に良く分かってくれていたと思う。
コクリコ坂から」の中にもそんなシーンがあった。

高校時代にあの「自由と自治」に触れられたことは、とても幸せなことだったし、その「自由と自治」が今の自分の土台を築いているんだと思う。


コクリコ坂から」は観た人それぞれの、心の奥にある座標の原点を優しく触れてくれる映画だった。


……絵がもう少し丁寧に書かれていたら、もっと良かったのにと思う点が何箇所かあったのが残念だった。例えば、登校シーンの主人公の動き、自転車を漕ぐ少年の動き、カットによっては、人物のバランスが崩れてしまっていたり。

でも、良い映画だった。

クルム伊達公子に人生を学ぶ

ちょっと前の話。
6月22日の夜中、ウィンブルドンでのビーナス・ウィリアムズ戦を見た。
やや大仰に言えば、スポーツの素晴らしさと、人生の素晴らしさを教えてもらった最高の試合だった。


ボクはあまりテニスのことは詳しくないので、技術的なことや戦略的なことは良く分からないのだけれど、ビーナス・ウィリアムズの名前くらいは知っている。
筋骨隆々、身長185cm、そのサービスは時速200km! 
……う〜ん。


身体能力では明らかに伊達よりもビーナスのほうが上。素人でも分かる。
でも伊達は引かない。微塵も下がらない。
体力では負けていても精神力では負けていない。
敢えてサーブ&ボレーで前に出る。何度も出る。厳しいコースに差し込まれても、追う。あきらめずに追う。疲労で足が動かなくても、追う。その一球に全力で食らいつく。
結局、その一球に全力をぶつけられない者は、その一球の積み重ねである試合にも全力をぶつけられないんだと伊達はプレーを通して見せてくれた。


きっと伊達は、テニスが好きなんだと思う。本気の「好き」だからこそ過酷な準備を乗り越えられたのだろう。だからこそ、どんなに苦しい展開になっても試合を楽しんでいたのだろう。


伊達がテニスを通じて発信してくれたメッセージは、なんともシンプル。
好きだからこそ、常に全力。好きだからこそ、常に楽しむ。
人生の素晴らしさは、そこにある。

ダテック、ありがとう!

Facebookにスパム来たよ〜

全然気がつかなかったのだけれど10日ほど前にFacebookでスパムを受信してました。

Mayumi Sanada
5月21日
Mayumi Sanada
 
メッセージを送ろうかどうしようかずっと悩んでたんですけど、思い切ってメッセージを送ってみます。

私の友達があなたに興味を持ってるみたいで、何度かページを見てるんです。
よかったらメールとかで直接話してみてくれませんか?

その子は22歳の可愛い系の子で、ぱっと見は森下まいちゃんをもっと可愛くした感じの雰囲気です。
写真とか勿論あるんですけど、こんなメッセージいきなりで断られたら目も当てられないので一回返事もらえますか?

携帯は  pu-pooh39@ezweb.ne.jp です。

そしたら写真送るんで見てもらった上でよければ話してみてください。

私は友達ですが、ななみがfacebookに登録していなくて連絡が出来ないので私からメッセージを送りました。
facebook内でやりとりするの面倒なんで返信じゃなくて携帯の方にメール下さい♪

無理だったらスルーで!

「Mayumi Sanada」って人のアカウントもそれとなく作ってあるのね。
Facebookは実名だから云々ってのは関係ないみたい。
というよりも、成功率がアップしたりして。
しかし、古典的な手法ですなぁ。